第14回 『 頚性神経筋症候群の概念 』平成24年07月21日(土)


今回のテーマは、「頚性神経筋症候群」です。
  1. 頚性神経筋症候群の概念
  2. 診断
  3. 治療
  4. 当院での取り組み
  5. めまい予防のための注意点

01 頚性神経筋症候群の概念

頚筋群の異常が慢性疲労症候群、頭痛、めまい(回転性および動揺性)、自律神経障害、むちうち症を引き起こす。これらの症状は頚筋群の治療により改善する。しかし、頚性神経筋症候群の原因や発症メカニズムについては、不明である。

頭痛や肩こりに回転性めまい(グルグルと回る感のめまい)動揺性めまい(フラフラとするめまい)を伴う事があることは、以前から知られていました。 頚性めまいと称され、その原因については、頚部の自律神経障害、椎骨・脳底動脈系の血行障害が想定されていました。一方ここ7〜8年マスコミやインターネットを中心に頚性神経筋症候群という捉え方が広がり、注目を集めています。 今回はその概念の解説とともに当院での取り組みについて説明します。
松井医師らにより提唱された頚性神経筋症候群とは、頚筋群の異常により慢性疲労症候群、頭痛、めまい、自律神経障害、むちうち症などが引き起こされるというもので、その原因や発症メカニズムは明らかでない。しかし、これらの疾患の症状が、頚筋群の異常が改善するとともに、軽快していくというものである。


02 診断


診断は診察、質問表への解答項目数、放射線学的診断を総合してなされる。まず、頚筋群の触診を行い、圧痛や筋緊張の異常の存在を確認する。また、対光反射(瞳孔の光に対する反応)を観察するが、本症候群では、この反応に異常を生じている。質問表では該当するものが10項目以上で中〜重症、5〜9項目で軽症、4項目以下では頚性神経筋症候群は否定的である。さらにX線では生理的前彎が消失した直線状の頸椎が特徴的で前屈位・後屈位での異常も指摘されている。MRI及びCT検査では、椎間板の後方への突出が見られることがあり、この場合、治療による症状の改善が遅れたり、あるいは改善に乏しいようである。


03 治療

  1. 物理療法
    低周波治療
    温熱療法
  2. 漢方薬による治療
  3. 薬物投与
    点滴あるいは内服薬
  4. その他

治療は物理的療法が主体となる。まず、異常を認める頚筋群に対して、温熱療法や鍼を用いた低周波治療により頚筋群の圧痛や筋緊張の異常の改善を図る。また、漢方薬あるいはその他の筋弛緩効果のある薬剤の投与。また不眠やめまいなどの症状に対しても内服薬や点滴による治療を行う。


04 当院での取り組み

  1. 頚性神経筋症候群という考え方は、頭痛めまいに関しては有効
  2. 診断に際して、対光反射の異常が存在するか疑問
  3. 治療
    1. 生活指導
    2. 内服薬(漢方を含む)
    3. 物理療法(牽引、電気治療、マッサージ)
    4. 鍼治療
    5. ブロック注射(トリガーポイント)
    6. その他

当院では同様の観点から、頭痛・めまいの治療を行い、一定の効果を上げている。しかし、慢性疲労症候群、自律神経症候群、むちうち症に対しては、効果が認められた症例はあるものの、一定した効果は見られなかった。治療については、仕事上や家庭内での姿勢、枕などの就眠時の体位を中心とした生活指導を主体とし、筋弛緩剤を中心とした内服薬による治療、牽引、電気治療、マッサージを主として物理療法、鍼治療、ブロック注射などの補助的治療を行っている。


05 めまい予防のための注意点

  1. 座位のまま(ソファや椅子などで)居眠りをしない
  2. 頚部の過剰運動を避ける
  3. 頸椎伸展状態、屈曲状態での就眠を避ける

当院では上記の通り指導を行い、一定の効果が得られている。



















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